[中級編] ミニマリストについて知る

ミニマリストについて
minimalists

ミニマリストについて少し深掘りしてみる。

入門編の記事を読んでいただけた方には、ミニマリストの概要はお伝えできたかと思います。

こちらのページでは、ミニマリズムの発端から、歴代のミニマリストについてもう少し深く解説していきます。

そもそも、ミニマリストって?という方は、以下をご覧ください。

ミニマリスト入門編

結論からお伝えすると、ミニマリストとは、

自分にとっての「最小限」を見つけ、日々棚卸ししていくことで自分自身の「豊かさ」を見つけている人。

と考えています。ミニマリスト登場の歴史も踏まえ、以下で詳しくご説明します。

ミニマリズムとは

ミニマリストを知る上で重要となるのが、ミニマリズムという考え方です。

ミニマリズムの歴史

ミニマリズム(minimalism)とは、アメリカにて、1960年代に登場した様式や手法のことを指します。 「minimal(最小限)+ ism(主義)」を組み合わせを示す造語です。要素を最小限にまで切り詰めてシンプルにこだわったもので、主に美術や建築などの芸術分野で導入・展開されました。その結果、ミニマリズム文学・ミニマリズム建築などが生まれ、次第にファッションや音楽、生活様式に適用されるようになりました。

ミニマリストの登場

現在の意味で使われる「ミニマリスト」は、2009年にアメリカで登場しました。元祖ミニマリスト、「The Minimalists」という男性二人組の登場です。

一度、時間に余裕がある方は、TEDで登壇した際の動画があります。
ご覧いただくとわかりやすいと思います。

A rich life with less stuff | The Minimalists | TEDxWhitefish

抜粋ですが、彼らはこのようなことを語っています。

・若い頃、The Minimalistsのひとり、ライアンは年収をあげることが「豊か」になることだと考えていた。
・ライアンは、30歳で年収1,000万円を目指すも、徐々に目標が近づいたにも関わらず、豊かさからは遠ざかっていった。
・役職が上がり、高級車やマンションも手に入れ、周りから見ると、成功者であったが、それは表面的なものであった。
・ストレス/不安でいっぱいだった。惨めな状態だった。何が人生にとって重要なのか、わからない状態だった。その不安を埋めるために、たくさんモノを買っていた。
・たくさん買ったモノのために、働く。そんな生活が続いていた。

・そんな中、親友のジョシュアが幸せそうなことに気づく。なぜかと聞いたところ、「ミニマリズム」について語ってくれ、コミュニティを紹介してくれた。
・生い立ちも境遇も家族構成も違う人たちがいたが、みな幸せそうだった。そんな人々の共通点は「熱意、目的をもった有意義な生活」と「それはミニマリズムのおかげ」ということだった。
・即日、ライアンはミニマリストになることを決めた。全ての所有物を梱包して、使うものだけ取り出し、3週間後に使わなかったものは捨てると決めた。
・すると、80%のものが3週間後に使われなかった。それらを処分すると、ライアンは人生が「豊か」と思えるようになり始めた。
・この感動を伝えるため、ライアンとジョシュアはThe Minimalistsというブログを立ち上げ、ミニマリズムの提唱を続けている。

このように、彼らは2009年からミニマリズムを提唱しはじめ、自らをミニマリストと名乗り始めました。

彼らは、「日々の生活を振り返ってみてください」と、以下のメッセージを発信しています。
・モノを所有することは悪いことではない
・9時〜17時に働くことも悪いことではない
・ただ、モノのために働くということになると、優先順位が狂い、人生の目的を見失ってしまう
・余計なモノは放り出してみることで、(健康、人間関係、成長、コミュニティ等)残った本当に大切なものに集中することができる

スティーブ・ジョブズの登場

アップル社創設者のひとり、スティーブ・ジョブス。彼も、ミニマリストのひとりとして知られています。ジョブズが作り出すアップル製品は、無駄を削ぎ落として作られています。言わずもがな、iPhoneはボタンがひとつ、ケーブルも充電・イヤホンの差し口のみと徹底されています。(現在ではボタンもなくなり、差し口もひとつになりました。)

彼は、日本の「禅(ぜん)」に影響を受けたと言われています。

そもそも「禅」とは、和楽さんでこのように解説されています。
’’ 簡単に説明すると、自分自身の存在の真実を探すこと。
(中略)
みずからを律し、万物に感謝し、ムダを省き、生き方を見つめ直すこと。そんな根本的なことが禅につながります。 ’’

日本人でも理解が難しい禅ですから、ジョブズであっても100%理解することは難しかったでしょう。ときには、エセ禅信者と揶揄されることもあるようです。
しかしながら重要なことは、その根本にどれだけ共感し、理解しようとしたか、ということにあると、私は考えています。
禅は「豊か」になるための一手段である、と考え、学び、行動に移したことは評価される点だと考えます。

日本のミニマリストの登場

2010年頃 川田久里央さんによる「earth in us. 人生をシンプル&クリーンに調和させるミニマリストライフ」というブログが登場しました。
ミニマリズム(最小限主義)の8つの目的、ミニマリストの5つの原則が紹介されています。

ミニマリズム(最小限主義)の8つの目的

  1. 仕事の量を減らし、質を向上させる
  2. 外からの情報をへらして、内から自分を知る
  3. あなたのしたいことのできる自由をふやす
  4. あなたの心を満足してくれる時間をふやす
  5. 大事なことのために、「余白」を用意しておく
  6. 心配をへらして、「楽しめる心」になる
  7. ガラクタをへらして、植物やアートを楽しむ
  8. 害をへらして、回復力をたかめる

ミニマリストの5つの原則

  1. 不要なものを捨てさる
  2. 大事なことを見きわめる
  3. 選んだものは、すべて大事にする
  4. スペースを喜びで満たす
  5. 変化させつづける

川田さんは、次のように語ります。
(ブランド品や海外旅行、パーティを否定するわけではないが、)幸せを感じることは、もっと身近なところから始めることができます。

たとえば、静かな朝に掃き清められた部屋で目覚め、コーヒーを楽しみ、朝日を浴びながらジョギングをし、穏やかな心で仕事をおこない、家族との時間も大切にする。それだけで、幸せになることができるのです。

また、川田さんはあえて、ミニマリストとは何かを定義していません。
なぜなら、「ミニマリズムは変化させつづけるもの」だからです。

モノが100個以下になったらミニマリスト、車やこの商品を持っていなかったらミニマリスト、服が何着しかなかったらミニマリスト、ということは、定義できません。
人の「最小限」は、それぞれの価値観・趣味嗜好・家族構成・仕事等によって大きくことなります。また、年齢、季節、世界情勢によっても変わってくると思います。最小限が何かを定義することは、野暮なことにすぎません。

日本から世界へ、有名ミニマリストの誕生

「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」
そんな衝撃的なタイトルで本が2015年に出版されました。
この書籍は海外23ヶ国語に翻訳されて、世界累計40万部のベストセラーとなりました。
今現在ミニマリストとして活躍されている方の多くも、この本との衝撃的な出会いを果たし、ミニマリストになるきっかけとなったと語っています。

著者の佐々木典士(ささきふみお)さんは、10年前はミニマリストではなく、むしろモノが捨てられない性格だったそうです。

そこに住んでいると言いたいがために中目黒に住み、趣味嗜好をみてもらいたくて、読みもしない意識高い書籍やコアな音楽CDを持ち、色々なモノに囲まれて過ごしていた…と、赤裸々にミニマリスト前の時代を語ってくれています。

そんな佐々木さんが、「あえて考えてみるなら」と次のことを語っています。

’’ ミニマリストとは、

・自分に必要なモノがわかっている人
・大事なもののために減らす人

だと、ぼくは考えている。”


私(管理人)も拝読させていただきましたが、本ページで説明している要素のリアルかつ具体的なエピソード、断捨離ルールがまとまっており、為になる良書です。

まとめ:ミニマリストとは

ミニマリストとはなんぞやを定義してやろう!と意気込んで調べたら、「定義しないほうがいい」なんて意見にたどり着くとは、はじめは思っていませんでした。

意味がファジー(曖昧)だからこそ、情報が独り歩きする。そんな側面を持つミニマリストではありますが、少なくともこの記事を最後まで読んでいただいた皆様には、ミニマリストとは何かを掴んでいただけたのではないかと思います。

定義とは言わず、’’ひとことで表現’’すると、

自分にとっての「最小限」を見つけ、日々棚卸ししていくことで自分自身の「豊かさ」を見つけている人。

それが「ミニマリスト」なんだと、私は思います。

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